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地域で取り組む緩和ケア

[2024.08.20]

2024年度の診療報酬改定では、在宅医療と緩和ケア病棟の連携を強化することで、地域全体で質の高い緩和ケアを提供する体制を整えていくことを重視する方向性が示されました。

これは高齢多死社会ともいわれる2025年以降の日本において、終末期の医療(ターミナルケア)を医療機関側も患者側も持続的で安心できるものにしていく施策となりそうです。

診療報酬改定の内容を踏まえ、地域が求める緩和ケア病棟や在宅医療の役割、期待される効果について考察します。

 

診療報酬改定のポイント

2024年度の診療報酬改定では、下記のような新設や要件緩和が行われました。

病院だけが終末期医療の場ではないこと、患者さんの多くは在宅での終末期を望んでいることから、地域における情報連携をスムーズにすることで、多くの患者さんが望む在宅での終末期医療を実現させるということを目指していると言えます。

 

在宅がん患者緊急時医療情報連携指導料

新設された管理料となり、在宅で療養するがん患者が急変した際に、ICTを活用して医療従事者間で情報を共有し、適切な指導を行うことが評価されるようになりました。

 

緩和ケア病棟緊急入院初期加算

緩和ケア病棟への緊急入院時に、事前の文書による情報提供要件を緩和し、ICTを活用して受け入れを行うことが評価されるようになりました。

 

在宅医療情報連携加算

在宅で療養する患者さんの診療情報をICTを活用して他の医療機関と共有し、計画的な医学管理を行うことが評価されるようになりました。

 

 

緩和ケア病棟と在宅医療の連携により得られるメリット

迅速な緊急対応

緩和ケア病棟緊急入院初期加算の要件緩和により、患者さんの急変時に迅速に緩和ケア病棟へ入院できる体制が整えられます。これにより、在宅と病院の選択が柔軟になり、患者さんの状態に応じた適切な医療を提供することが可能となります。

 

在宅医療とのICT連携強化

在宅医療情報連携加算や在宅がん患者緊急時医療情報連携指導料の新設により、在宅療養中の患者さんの情報を共有し、緊急時にも迅速かつ適切な対応が可能となります。これにより、在宅医療と緩和ケア病棟が一体となって患者さんや家族を支える体制が強化されると言えるでしょう。

 

患者さんと家族のQOL向上

緩和ケア病棟と在宅医療との連携がスムーズになることで、患者さんとその家族は安心感が得られるようになります。

また、終末期の患者さんは予期しない体調の変化が頻繁に起こるため、在宅医療チームにとっても選択肢としての緩和ケア病棟の存在は心理的な支えとなります。

 

ご案内

2024年度の診療報酬改定により、緩和ケア病棟と在宅医療との連携が重要視されるようになりました。これにより、地域全体で質の高い在宅ホスピスケアを提供する体制が整い、患者さんや家族が安心して療養生活を送ることが期待されます。

 

また、2024年6月より新診療報酬制度に移行していますが、まさに今、地域の緩和ケア病棟と在宅医療の連携が進められ、連携の方法やより良い仕組みを作るために試行錯誤をしているところです。

 

ここからはご案内になりますが、当法人の東十条クリニックの安井医師が、下記カンファレンスに参加いたします

このカンファレンスでは、都立駒込病院の緩和ケア病棟や他の地域医療機関との連携強化についてディスカッションを行い、地域における緩和ケア病棟の役割について深く議論します。東十条クリニックは、意見交換を通じて、地域でより良い在宅ホスピスケアを提供する体制構築に向けた貢献を目指します

 

【開催概要】

『駒込病院緩和ケア地域連携カンファレンス 地域が求める緩和ケア病棟とは』

開催日:2024年8月27日 18:00-19:00

場所:オンライン開催(Zoom利用)

参加医療機関:駒込病院緩和ケアセンター、やまと診療所、神楽坂ホームケアクリニック、東十条クリニック

また、当カンファレンス開催後に議論された内容等について触れ、今後必要となっていく緩和ケアの地域連携ついて考察し、こちらに内容を追加する予定です。乞うご期待。

 

当カンファレンスで話し合われた内容について(概要)

・どのような時に地域の緩和ケア病棟に入院以来をかけるか

・「人生の最後をどこで過ごしたいか?」という問いに対して自宅と答える方が70-80%である

・緩和ケア病棟に期待すること

在宅緩和ケア・在宅ホスピスケアを多く実施しているききょう会では、疼痛のコントロール等をできるだけご自宅に行えるように様々な工夫やスタッフのレベルアップを図っています。

また、人生の最後をどこで過ごしたいかという問いに対して、病院への「入院」と答えるかたが約20%という状況となっています。

このような希望の中でも、緩和ケア病棟に入院する判断をどのように行っていくかの話しがされました。

判断としては、患者側因子である苦痛症状の増悪、介護者側因子である介護負担などがあります。

 

これらを総合的に考え、今後ますます必要となる緩和ケア病棟への入院連携に期待するお話をさせていただきました。

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