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ケアプランデータ連携システム フリーパスキャンペーン開始 いよいよ始まる介護情報と医療情報の連携

[2025.05.28]

2025年6月1日から「ケアプランデータ連携システム フリーパスキャンペーン」が開始されます。

在宅医療をメインに行っている当院では今すぐに直接的な大きな影響はありませんが、訪問先の介護施設、連携先の居宅介護事業所等では大きなインパクトがあることと思われます。

また、将来的には全国医療情報プラットフォームという日本全体での医療DXに繋がっていくという点は見逃せません。

 

以前記したブログでも、介護情報と医療情報がシームレスにつながる未来図「医療DX令和ビジョン2030」についても触れています。ぜひご覧ください。

2024年4月開始「マイナ在宅受付WEB」で在宅医療はどう変わる?

医療と介護 ICTによる地域連携

 

全国医療情報プラットフォームとは 

「医療DX令和ビジョン2030」が掲げる国の柱、それが全国医療情報プラットフォームです。これまでは病院・診療所・薬局・介護施設がそれぞれ独自のシステムで情報を管理していました。例えば 

  • 病院A:電子カルテソフトN
  • 訪問看護ステーションB:看護記録ソフトO 
  • 調剤薬局C:薬歴管理システムZ P
  • 介護施設:介護記録ソフトQ

といった具合に、それぞれの情報が“孤島化”しているのが実情です。 

 

そこで、全国医療情報プラットフォームは、マイナンバーカードを用いたオンライン資格確認 により、クラウド上の統合データベースに接続し、患者さん同意に基づいたPHR(個人健康記録)機能を用い、全国規模で情報を統合します。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/data_rikatsuyou/dai11/siryou2.pdf

「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チームより抜粋

 

とくに以下の「3文書6情報」というものがリアルタイムに参照可能になるとされています。 

参考)3文書6情報:診療情報提供書、退院時サマリー  、検査値、アレルギー情報、傷病名、薬剤処方履歴 

 

さらに2026年度からは介護情報基盤とのAPI連携が始まり、要介護認定情報やケアプラン、サービス利用実績(LIFEフィードバック票等)がプラットフォーム上に集約されていきます。 

 

全国医療情報プラットフォームによって、重複検査・重複処方の抑制や、緊急時の初期対応スピードアップ、訪問診療・訪問介護のミスマッチ防止、患者・家族自身によるセルフケア支援などが進むとされています。 

 

このプラットフォームは、医療・介護の壁を取り払い、すべての関係者がリアルタイムに最新情報を共有することで、地域包括ケアを真の意味で実現するとされています。 

 

介護情報基盤により在宅医療はどう変わるか? 

全国医療情報プラットフォーム、特にその中の介護情報基盤から次のようなことが実現するのではないかと考えられます。

 

リアルタイム情報共有で訪問精度が向上 

 訪問前に最新のケアプラン、LIFEフィードバック票、退院サマリー、検査値を電子カルテで確認ができます。 例えば「昨日の血圧急上昇」「前回訪問時に家族から報告のあった発熱」などを見逃さず、訪問計画を調整することができるようになるでしょう。

 

事務作業の大幅削減で業務効率化 

資料を紙やFAXで得ることなく電子カルテに自動取り込みができるようになると、転記作業がゼロになります。

 

多職種連携の高度化でチームケアを強化 

医師、ケアマネジャー、看護師、介護士、薬剤師、リハビリ等の多職種で同じ最新情報を参照 できるようになります。ケアプラン改定や緊急対応もプラットフォーム上のコメント機能があれば迅速共有できるようになるでしょう。

 

予防的介入・AI支援でQOL向上 

データ化されることで、ビッグデータとなります。ビッグデータからAI解析し「転倒リスクが高い患者」「肺炎発症リスクが高い患者」などを予測することができ、予防的医療のタイミングを最適化し、在宅医療の質的向上に貢献します。

 

さらに、患者さんとご家族はスマホやPCでマイナポータル経由に情報を閲覧できるようになると、自信の体の状態や予測が分かるようになるでしょう。そして、在宅医療チーム全体で“目に見える質の向上”を体感できるようになっていくものと考えられます。 

 

上記「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チームより抜粋したものの一部を拡大

 

ケアプランデータ連携システムとは? 

ケアプランデータ連携システムは、2023年4月に稼働開始した介護情報基盤への橋渡し的システムです。

居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)と介護サービス提供事業所間で、居宅サービス計画書(第1表・第2表)、サービス利用票(第6表・第7表)といった主要書式を電子的にやり取りします。 

 

システムの仕組み 

現在は介護記録ソフトへの対応状況のためCSVファイルというシンプルなデータを用いて連携できます。

  1. ケアマネジャーは介護ソフトでケアプランを作成し、CSVデータとして保存
  2. ケアプランデータ連携システムにCSVデータをアップロード
  3. クラウド上の連携基盤にデータが登録され、対象サービス事業所に通知
  4. 利用する事業所はケアプランデータ連携システムからCSVをダウンロードし、自社ソフトへインポート

 

さらに2025年5月からは、API連携というさらに便利な連携方法が始まっています。API連携ができるようになると、CSVファイルを介さずとも、自動的に連携される仕組みになります。

 

ケアプランデータ連携システムの特長やメリット 

とくに強調されているのは、業務負担の軽減や経費削減効果について記されています。

例えば、年間約81万円の人件費削減効果、印刷・郵送・交通費など通信費だけで年間7.2万円削減

(厚労省試算)とあるのでコスト的に大きな影響を当たることが分かります。さらに、結果として、転記ミス・返戻リスクの低減で利用者サービスの信頼性向上などのサービス品質の向上が見込めます。

 

介護情報基盤への拡張 

ケアプランデータ連携システムは「介護情報基盤2026」のプレシステムとしても機能し、介護情報基盤稼働後は、ここに集積されたケアプラン・LIFEデータが自動的に介護情報基盤へ流れ込み、さらに全国医療情報プラットフォームとも連携されるという設計のようです。 

 

https://www.careplan-renkei-support.jp/

 

 

 

 

ケアプランデータ連携システム フリーパスキャンペーン概要 

 

2025年6月1日から2026年5月31日までの期間限定で実施される「フリーパスキャンペーン」は、ケアプランデータ連携システムの全機能をライセンス料無料で最大1年間利用できる制度です。

通常21,000円/年の費用が、申請日から起算して1年間まるごとゼロ円になります。

 

対象は、新規導入事業所はもちろん、現在利用中の事業所や過去に利用していた事業所も含むすべての介護事業所。申請時期を問わず、期間中の申し込みでいつからでも1年間無料が適用されます。

さらに、2025年4~5月に更新手続きを完了した既存ユーザーも、次回(2026年4~5月)の更新時にフリーパスが適用されるため、直前の更新による不利益はありません。

 

申し込みは国保連合会のケアプランデータ連携システム ヘルプデスク・サポートサイト内の特設ページから行え、2025年3月14日より詳細情報とよくある質問が公開中。

専用フリーダイヤルで疑問点の相談も可能です。

 

本キャンペーンの狙いは、導入コストを気にしていた小規模事業所の参加を促し、「まずは無料で使ってみる」きっかけを提供すること。実際に1年間試用することで、職員の操作感や業務フローへの適合性を見極めたうえで、継続・解約の判断ができるリスクフリーの制度設計です。

参考:https://dxmcnavi.com/articles/careplan-freepass/

 

 

 

まとめ 

ケアプランデータ連携システムは介護情報基盤の入り口となり、さらに介護情報基盤は医療情報基盤と接続されることで全国医療情報プラットフォームとなります。これらの情報の連携が実現すれば、医療・介護の壁を越えた本格的な地域包括ケアが実現するものと考えられます。 

 

患者さん・ご家族はマイナポータルで自己の健康・ケアデータを一元管理でき、医療従事者は効率よく質の高い訪問診療を提供可能になるでしょう。そして連携しているケアマネジャーや相談員、地域連携室の皆さまは、多職種チームでの連携を強化し、患者さん本位の医療や介護を実現できるようになるでしょう。

 

医療法人ききょう会は東京都から埼玉県まで広く在宅医療(訪問診療)の提供を行っており、特に在宅ホスピスケア・緩和ケアに力を入れています。医療の質を向上させるために医療DXにも積極的に取り組んでいます。

 

・巣鴨ホームクリニック

 

豊島区、北区、文京区、板橋区

 

 

・東十条クリニック

 

豊島区、北区、文京区、板橋区、足立区

 

 

・花畑クリニック

 

足立区、葛飾区、埼玉県草加市、八潮市

 

 

・伊奈クリニック

 

埼玉県上尾市、桶川市、伊奈町、蓮田市、さいたま市見沼区・北区・岩槻区

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