2025年度稼働「電子カルテ情報共有サービス」で医療はどう変わるか
電子カルテ情報共有サービスとは?
電子カルテ情報共有サービスは、厚生労働省が推進する医療DX(全国医療情報プラットフォーム)の中の取り組みの一つです。
このサービスは全国の医療機関や薬局などで患者さんの電子カルテ情報を安全に共有するための仕組みで、2025年度中に本格稼働する予定となっています。
厚生労働省では下記のようなロードマップも公開しており、ロードマップを確認したところ、現在は各種テストや、モデル事業が開始され、そろそろ全国的な広報が始まるのではないかというところでしょうか。
具体的な中身がそろそろ気になってきています。
医療機関等向け総合ポータルサイト 電子カルテ情報共有サービスとは より抜粋
電子カルテ情報共有サービスは主に以下の3つ機能を持っています。
紹介状送付サービス
紹介元の医療機関が登録した診療情報提供書・退院時サマリーを紹介先の医療機関等が電子的に取得できるサービスです。
医療機関等向け総合ポータルサイト 電子カルテ情報共有サービスとは より抜粋
健診結果報告書閲覧サービス
各種健診結果を実施主体(医療保険者)及び全国の医療機関等や本人等が閲覧できるサービスです。
医療機関等向け総合ポータルサイト 電子カルテ情報共有サービスとは より抜粋
6情報閲覧サービス
患者の6情報(傷病名・アレルギー・薬剤禁忌・感染症・検査・処方)を全国の医療機関等や患者本人が取得・閲覧できるサービスです。
医療機関等向け総合ポータルサイト 電子カルテ情報共有サービスとは より抜粋
電子カルテ情報共有サービスで変わる情報共有
電子カルテ情報共有サービスにより、医療機関が持つ電子カルテの重要な情報を、患者さん本人の同意を得ることで電子的に共有できるようになります。
例えば、従来はかかりつけ医から紹介先の病院へは紙で出された紹介状(診療情報提供書)を持参する必要がありましたが、今後は紹介先の病院が即時に情報を確認可能になります。
そして退院時には退院時サマリーが電子的に共有できるようになります。
在宅医療の現場でも救急搬送ということは起こりますが、救急の場面でも紹介状は必要になります。
ケースバイケースではありますが次のようなステップが多く見られます。
まず、医師が電子カルテで紹介状を作成し、作成したことを事務員に知らせます。
事務員は紹介状を紙に印刷し、封筒に封入後、患者さんや家族等に連絡を取りつつ紹介状をお渡します。
また、一方で事務員は紹介先の病院には紹介状のFAXを送っておくということを行っています。
この一連の作業をスピーディーに行うために現場では大きな負荷がかかっているのが現実です。
当法人ではクラウド型の電子カルテや地域連携用コミュニケーションツールを使ってこれらの作業を効率化してはいますがそれでも一時的に広範囲に業務負担が及びます。
これらの業務負担が軽減されることに加え、ミスの低減、小さいことではありますが紙や封筒のコストや管理コストなど塵も積もれば山となるコストも軽減されることが期待されます。
また、得られる情報が増えることで医療の質も向上することが考えられます。
患者さんが過去に受診した医療機関で得られたアレルギーや禁忌薬の情報なども合わせることにより、より患者さんに相応しい医療を提供できることはもちろん、トラブルも防げるようになるでしょう。
さらに下記資料には次のようにも記されています。
「今後、歯科医療機関・薬局や訪問看護ステーションとの情報共有に用いることができれば、医科歯科の連携や、病院と在宅医療・訪問看護との連携がさらに進む。」
「地域における機能分化と連携、医科歯科連携、病院・在宅・訪問看護との連携がさらに進む。」
つまり、当法人のように病院、緩和ケア病棟、訪問看護、介護施設、薬局など地域連携や多職種連携の在宅医療クリニックでは電子カルテ情報共有サービスから大きな恩恵を得ることが出来ると想像されます。
厚生労働省 電子カルテ情報共有サービスについて 資料より抜粋
全国医療情報プラットフォームで変わる医療体験
この電子カルテ情報共有サービスは全国医療情報プラットフォームを構成する一つのサービスにすぎません。
厚生労働省 電子カルテ情報共有サービスについて 資料より抜粋
全国医療情報プラットフォームは電子カルテ情報だけでなく、健診データ、介護情報などが幅広く共有されるようになります。
これにより、在宅医療機関や訪問看護、薬局、介護関係者などの関係者全員が同じ情報を素早く把握できるようになり、個別化された切れ目のない医療・介護サービスが提供されるようになるとされています。
さらにはこれらの連携やデータを元にして、医療DXが加速するとされています。
例えば、ビッグデータを活用した疾病予防や健康増進、AIによる診断支援や個別化医療の実現、遠隔医療の普及による医療アクセスの向上、医学研究の加速による新たな治療法の開発などです。
在宅医療の分野でも、IoTデバイスによる24時間モニタリングと自動アラート、VR技術を用いたケア、AIによる最適な在宅ケア計画の立案支援など、革新的なサービスが生まれる可能性があるとされています。
現在の在宅医療から新時代へ
電子カルテ情報共有サービスやその先にある全国医療情報プラットフォームは、医療に関わる全ての人々に大きなメリットをもたらします。
患者さんやその家族にとっては安心で質の高い医療・介護サービスを受けられるようになり、医療・介護従事者にとっては業務の効率化とケアの質の向上につながります。
一方で現在はまだこの全国医療情報プラットフォームは構築されていませんので、現時点でできる情報共有の効率化等は現在できることで考えなければなりません。
在宅医療(訪問診療)は患者さんから離れたところで、遠隔で多職種(訪問看護、ケアマネジャー、薬局、病院の地域連携室、家族)と様々な情報のやりとりを行う必要がありますので、ICTの活用が大きな業務負担軽減に繋がります。
患者さんの状態変化や服薬状況、介護サービスの利用状況など、多岐にわたる情報を関係者間で共有し、タイムリーに対応することを可能にしていきます。
医療法人社団ききょう会では、ICTを積極的に活用することで、業務負担を軽減し本業である医療の質を向上させています。例えば、医療介護専用SNS「メディカルケアステーション」や地域連携のための入退院支援システム「CAREBOOK」、クラウド電子カルテシステムを使用することで、より効率的で質の高い医療サービスの提供を目指しています。
これらについては下記記事で説明しています。
https://kikyoukai.net/blog/iryou-kaigo
https://kikyoukai.net/blog/byoushin-renkei
これらの取り組みにより、医療スタッフがより多くの時間を患者さんとの直接的なケアに割くことができ、患者さん一人ひとりのニーズに合わせたきめ細かな医療サービスを提供することが可能となっています。
医療法人ききょう会は東京都から埼玉県まで広く在宅医療(訪問診療)の提供を行っており、特に在宅ホスピスケア・緩和ケアに力を入れています。
豊島区、北区、文京区、板橋区
豊島区、北区、文京区、板橋区、足立区
足立区、葛飾区、埼玉県草加市、八潮市
埼玉県上尾市、桶川市、伊奈町、蓮田市、さいたま市見沼区・北区・岩槻区