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2026年度診療報酬改定:在宅医療の主要加算や算定要件から見る在宅医療の未来

[2026.04.02]

 

2026年度(令和8年度)診療報酬改定において、在宅医療分野はこれまでの「量」から「質」への転換が明確に見られます。単なる訪問件数の確保ではなく、重症患者の受け入れ実績や24時間体制の責任所在が評価の分かれ目となっています。

本診療報酬改定では、在宅医療において大きな変化のあった部分や、在宅医療に関連しそうな他の入院等の内容について解説します。

在宅医療充実体制加算(新設

従来の「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」が廃止され、より広範な重症患者対応を評価する「在宅医療充実体制加算」が新設されました。

本加算の算定には、以下の極めて高いハードルを全て満たす必要があります。小規模クリニックや、軽症の施設入居者を主とするモデルでは算定が困難となるよう設計されていることがうかがい知れます。地域の中核拠点として「重症者を断らない」体制の構築が必須となります。

主な算定点数
単一建物診療患者が1人の場合 800点(旧加算:400点から倍増)
単一建物診療患者が2〜9人の場合 400点(旧加算:200点から倍増)
緊急・夜間・休日等の往診に伴う在宅ターミナルケア加算への上乗せ 2,000点
主な施設基準要件
人員体制 常勤換算で医師数3名以上を配置すること
看取り・往診実績 過去1年間の実績として、緊急往診実績30件以上、かつ看取り実績30件以上であること
重症患者対応 訪問診療患者全体に占める「重症度の高い患者(別表第8の2等に規定される状態)」の割合が2割以上であること
適正規模 医師1人あたりの訪問診療患者数が100人以下であること
教育・連携 地域の関係機関との連携体制を有し、適切な医育機能(研修医等の受け入れなど)を備えていること

 

厚生労働省資料より引用

在医総管・施設総管における「20%ルール」の導入

在宅時医学総合管理料(在医総管)および施設入居時等医学総合管理料(施設総管)の「月2回以上訪問区分」の算定要件が厳格化されました。

安定した施設入居者等に対して画一的に月2回訪問を行う医療ではなく、「本当に2回の訪問が必要な患者」に対して月2回の訪問を行いましょうという内容になっています。

本改定では、在宅患者訪問診療料を月2回以上算定する患者および在宅がん医療総合診療料を算定する患者のうち、重症患者や包括的支援加算の対象患者の割合が20%以上である医療機関でなければ、月2回以上の管理料を算定できなくなりました。

厚生労働省資料より引用

24時間対応体制と外部委託(往診代行)の厳格化

医師の働き方改革を踏まえ、外部サービス(往診代行・コールセンター等)の利用が公式にルール化された一方で、医療機関の責任範囲が明確化されました。

機能強化型在支診の二分化(イ・ロ区分)

連携型機能強化型在宅療養支援診療所が、自院の対応実績に応じて区分されました。

「イ」区分(高評価) 平時から訪問診療を行っている自院の医師により、連続する24時間の往診体制を月に4回以上確保している場合。
「ロ」区分(従来評価) 上記を満たさない、あるいは外部委託への依存度が高い場合。

 

外部サービス利用時の遵守事項

コールセンターや往診代行を利用する場合、以下の要件を満たさないと施設基準違反となる可能性があります。

事前説明義務 外部サービスを利用する旨を、あらかじめ文書で患者・家族に説明すること。
連絡体制の確保 コールセンターからの連絡を医療機関側が24時間いつでも確実に受けられる体制を整えること。
往診医の氏名通知 原則として、往診担当医の氏名を事前に文書で患家に提供すること。
事前面談要件 事前通知がない医師が往診する場合、その医師は往診日以前に当該クリニックの常勤医師と直接面談し、診療方針を共有していなければならない。また、当該クリニックでの往診実績が10回以上ある等の継続性も問われます。

 

賃上げ・物価高騰への対応評価

医療従事者の処遇改善と物件費高騰を補填するための評価が大幅に拡充されました。外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の引き上げ、賃上げ原資として活用可能な本評価料は、以下のように大幅に増点されました。

初診時 6点 → 17点
再診時 2点 → 4点
訪問診療時(同一建物居住者以外) 28点 → 79点(令和9年度にはさらに倍増の予定)
外来・在宅物価対応料(新設)

光熱費等の補填として、1日につき以下の点数が算定可能です。

  • 初診・再診時:2点
  • 訪問診療時:3点

多職種連携・医療DX関連の新設項目

チーム医療の推進とデジタル化の活用が新たな評価軸となっています。

医師・薬剤師の同時訪問評価

ポリファーマシー・残薬対策として新設されました。

訪問診療薬剤師同時指導料 300点(医科側算定、6か月に1回)
訪問薬剤管理医師同時指導料

150点(薬局側算定)※医師と薬剤師が同時に訪問し、処方見直しや服薬支援を行うことが条件

D to P with N(オンライン診療補助)の評価
  • 訪問看護遠隔診療補助料:予定外の緊急訪問等において、看護師が同席する中で医師がオンライン診療を行った場合に算定可能。これに伴い、遠隔での検査や処置の手技料も整備

事業継続計画(BCP)策定の義務化

在宅療養支援診療所・病院の施設基準として、BCP(業務継続計画)の策定が必須となりました。

  • 経過措置:2027年5月末までの猶予期間
  • 内容:災害や新興感染症発生時にも医療を継続するための計画。未策定の場合は在支診の届け出が維持できなくなるため、地域の医師会等と連携した早急な整備が求められます。

その他在宅医療が影響を受けうる入院施設における改定内容について

2026年度(令和8年度)診療報酬改定では、病院(入院医療)側における「早期退院」と「地域連携」へのインセンティブ強化が、在宅医療現場に多大な影響を及ぼすと考えられます。病院側がいかに効率よく患者を在宅へ戻し、その後の「質」を担保するかという要件にフォーカスし、在宅医療機関が知っておくべき主要な改定項目と要件を解説します。

急性期病院の再編と「逆紹介」の強力な推進

急性期病棟の評価体系が「病院全体の機能」を重視する形へ刷新されました。

急性期病院一般入院基本料(新設)

拠点的な急性期機能を担う病院を評価する「急性期病院A(1,930点)」や「急性期病院B(1,898点)」が新設されました。

在宅医療が注目すべき主な算定要件として平均在院日数の短縮があります。そのため、病院全体の効率性を維持するため、安定した患者を速やかに地域の医療機関へ逆紹介(下り連携)する動機付けが非常に強くなっています。

よって在宅医療機関側は、これらの病院の受け皿として、即応性の高い受け入れ体制が求められます。

包括期充実体制加算の新設

高齢者救急の受け皿である「地域包括医療病棟」や「地域包括ケア病棟」において、在宅支援の実績を評価する新たな加算が登場しました。

包括期充実体制加算(新設)
算定点数 1日につき 80点
対象 許可病床数200床未満の、急性期病棟を有しない医療機関。
主な要件 在宅医療や介護施設等への後方支援について、十分な実績(看取りや緊急受け入れ等)を有していること。

200床未満の中小病院が「在宅医療機関のバックアップ病院」としての機能を強化することを後押しする内容です。在宅医療機関にとっては、24時間対応の提携先として、これらの加算を届け出ている病院との連携がより強固な安心材料となるでしょう。

回復期リハビリ病棟の「実績指数」要件の厳格化

リハビリ病院側では、改善実績が出せない場合の評価が厳しくなり、より「効率的なリハビリと在宅復帰」が求められます。

実績指数の引き上げと「80歳除外」の廃止
リハビリ実績指数の基準値  入院料1では 42以上(旧40)へと引き上げられました。
80歳以上除外規定の廃止

これまで、改善が見込みにくい80歳以上の高齢者は実績指数の計算から除外できましたが、これが廃止されました。高齢者であっても一定の改善成果(FIM利得)を出すことが必須となります。

高齢患者であっても、目標とするADLに達した段階で速やかに退院・在宅移行させる流れが加速するでしょう。

退院後訪問栄養食事指導料の新設

入院中の管理栄養士が退院後も直接介入できる仕組みが医療保険で作られました。

退院後訪問栄養食事指導料
算定点数 530点(1回につき)
算定要件 退院から1か月以内に、4回を限度として算定可能。入院していた医療機関の管理栄養士が患家を訪問し、栄養管理指導を行うこと。
対象患者 特別食を必要とする患者、がん患者、摂食嚥下機能低下、または低栄養状態の患者。

これまでは介護保険の居宅療養管理指導が主でしたが、退院直後の最も不安定な時期に病院の管理栄養士が介入することを医療保険が評価しました。在宅医は、病院側からこの指導の提案があった場合、在宅での食事療養計画にスムーズに組み込む連携が求められます。

厚生労働省資料より引用

まとめ

2026年度(令和8年度)診療報酬改定においては、特に重症患者の割合が20%以上である医療機関でなければ、月2回以上の管理料を算定できなくなりました。

また、「在宅医療充実体制加算」の新設や外部委託(往診代行)の厳格化など、在宅医療機関としての責任に対してより正しい評価がなされていっているように見受けられます。

医療法人ききょう会は東京都から埼玉県まで広く在宅医療(訪問診療)の提供を行っており、特に在宅ホスピスケア緩和ケアに力を入れています。詳細は以下の各クリニックへお問合せください。

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