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2026年度 補正予算と診療報酬改定からみる在宅医療の今後

[2026.02.14]

2026年(令和8年)を迎え、医療制度は大きな変革期にあります。

ニュースなどで補正予算や診療報酬改定という言葉を耳にされる機会も増えてきたかと思いますが、「結局、現場はどう変わるの?」という疑問をお持ちの職員さんや患者さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、昨年末の「国の補正予算(緊急支援)」と、2026年4月から始まる「診療報酬改定(恒久的なルール変更)」の繋がりを読み解き、私たちの医療サービス、そして地域や患者さんとの連携がどう強化されていくのかを見ていきましょう。

 

引用:厚生労働省 介 護 保 険 最 新 情 報

賃上げや物価上昇に対する支援

在宅医療や介護の現場において、最も重要な資源はです。

ききょう会では、皆様に安心して療養生活を送っていただくためにもスタッフのレベルアップが、そしてケアマネジャー様や地域連携室、訪問看護ステーションの皆様と密に連携をとるためにもスタッフの定着と質の向上は最重要課題と捉えています。

【補正予算での動き】 「医療・介護等支援パッケージ」

昨年末に成立した補正予算には「医療・介護等支援パッケージ」というのがあります。

これは職員の処遇改善(賃上げ等)であり、医療業界の人材流出を防ぎ、安定した医療提供体制を維持するための措置です。

介護従事者にもこの支援は適用されます。当法人は在宅での療養を行っている患者さんの診療を中心に行っていますが、患者さんの生活のためには訪問介護のヘルパーさんの支援が不可欠です。同じ在宅医療を支えるチームとして。この支援はとても心強いものと感じられます。

【4月からの診療報酬改定】 「外来・在宅ベースアップ評価料」

「外来・在宅ベースアップ評価料」が新設されます。これは医師・看護師だけでなく、事務スタッフや補助者を含めた「チーム全体」のベースアップを実現する内容となっています。

この評価料は段階的な区分で細分化されており、算定要件の管理は煩雑といえます。

しかし、国が示した「医療職+3.2%」「事務職等+5.7%」というベースアップ水準をクリアし、他産業に流出しがちな優秀な事務スタッフや看護補助者等の定着を図り、スタッフのレベルアップをはかるとともに、強固な組織基盤を構築するためには重要であるといえるでしょう。

-ベースアップ評価料とは?ベースアップ評価料について解説

一言で言うと、医療現場で働く職員の「賃上げ」を安定的に行うための仕組みです。

医療機関の収入の大部分は、国が決める「診療報酬(医療サービスの公定価格)」で成り立っています。昨今の物価高騰や、他の業界で賃上げが進み、医療現場で働く方のお給料も上げていく必要がありますが、元々の診療報酬の仕組みのみでは、病院やクリニックの経営努力だけでは限界があるため、国が「賃上げ専用の手当」として新設したのが、この「ベースアップ評価料」です。

この制度で医療機関に入ったお金は、全額、職員の賃金改善(お給料アップ)に使わなければならないというルールがあります。

また、制度が始まった当初(令和6年度)は、医師・歯科医師を除く、看護師、薬剤師、技師などの「医療に従事する職員」が主な対象でしたが、これまで対象外とされがちだった事務職員や看護補助者なども含めた「全職員」に対象を広げる方向になっています。

基本的には、毎月決まって支払われる給与でまさにベースアップとして、一時金(ボーナス)ではなく、毎月の給与のベースを上げることが推奨されています。また、今後の改定では、夜勤手当の増額に充てることも認められるようになる見込みで、働き方に応じた還元もしやすくなります。

このベースアップ評価料のためには医療機関の裏側では複雑な手続きを行っています。

まず、国に対して「これくらいの賃上げを行います」という計画書を提出(届出)します。そして、実際に診療を行って得られたベースアップ評価料の収入を原資にして、職員への給与支給額を増やします。

さらに、毎年8月には「計画通りに給与を上げました」という実績報告を行います。

「ベースアップ評価料」は、医療現場で働く皆様の生活を守り、安心して働き続けられる環境を作るための、国と医療機関による協力の証です。

「最近、手当がついたな」「基本給が少し上がったな」と感じたら、それはこの制度を活用して、勤務先の医療機関が職員への還元に取り組んでいる成果かもしれません。

医療機関の裏側でも、複雑な計算や報告業務を行いながら、皆様への還元に努めています。この制度を通じて、医療チーム全体のモチベーション向上につながることが期待されています。

物価高とくに光熱費・資材高騰への対応

日々の診療に欠かせない往診車両の燃料費や、医療資材の価格高騰は、経営上の大きな課題となっていました。

補正予算による物価高騰対策支援に加え、4月の改定では初診料再診料訪問診療料といった基本診療料の引き上げが行われます。

これは、国が「コスト増で医療の質を落としてはいけない」と判断した結果と考えられます。

安全な医療資材の確保や、24時間365日走り続ける訪問車のメンテナンスのためにもこのような見直しは大きな意義があると考えていますので、柔軟な反映を今後もお願いしたいものです。

引用:令和7年度補正予算案について(報告)

DXや生産性向上に関する取り組み

「電子的診療情報連携体制整備加算」の新設

4月の診療報酬改定では、「電子的診療情報連携体制整備加算」が新設されます。これは、他院や薬局とデータを共有できる体制を構築し医療の質を上げること評価するものです。

また、このデータ共有には「間接業務の削減効果」も期待されています。事務スタッフによる保険証確認・入力作業の削減や、電話やFAXによる他院・薬局との連絡調整コスト(通信費・人件費)の圧縮などがこれに当たるでしょう。

これらにより、現場の医師・看護師だけでなく、医事課や連携室の業務負担を軽減し、生産性を向上させる狙いと捉えられます。

オンライン資格確認の訪問活用 患者様宅で最新の薬剤情報や特定健診情報を即座に確認します。
電子処方箋の活用 処方データをクラウド経由で薬局へ即時送信。薬局での待ち時間短縮や、配送手配の迅速化につなげます。
シームレスな入退院支援

病院の退院支援看護師様やケアマネジャー様と、入院中からクラウド上で情報を共有し、退院当日から不安のない在宅生活をスタートさせます。

 

引用:医療DX推進体制整備加算・ 医療情報取得加算の見直しについて

なお、当院ではMCSCAREBOOKというICTツールにより地域連携の強化および効率化を行っています。

https://kikyoukai.net/blog/byoushin-renkei

医療分野における生産性向上に対する支援(病院が対象)

業務効率化・職場環境改善に関する目標値を設定し、進捗管理を行う「業務効率化推進委員会(仮称)」を設置し、また、業務効率化・職場環境改善に資するICT機器等の導入等の取組を行う病院に対して必要経費を支援し、医療分野の生産性向上を図ります。

具体的には、スマートフォンによるカルテ閲覧や情報共有、インカムやIWB(インタラクティブホワイトボード/電子黒板)の導入など DX化による情報伝達の効率化を目指すことになります。

 

薬剤師を含めた多職種同行「訪問診療薬剤師同時指導料」

当法人のように在宅医療を行っているクリニックにおいて、今回の改定で注目すべきは、「訪問診療薬剤師同時指導料」の新設です。

これまで別々に訪問していた医師と薬剤師が、同時に患家を訪問し、共同で指導を行うことが国として強く推奨されました。

これまででも介護施設などでは医療の質向上のために薬剤師様が往診に同行をしてくれていることもあり、このようなときには診療の質が上がっている実感はありました。このように医師と薬剤師が同時診療を行うことで医療の質を向上させる行為が今回の診療報酬改定で正式に評価されることになりました。

これにより、今後一層、医師⇔薬剤師のコミュニケーションが改善し、医師の診察中に薬剤師が残薬確認や副作用チェックを同時に行ったり、その場で処方内容を相談・決定できるため、「薬の変更」や「減薬」がスムーズかつ安全に行われるようになるでしょう。

また、事務的な視点で見ると、これは「別々に行っていた調整業務の一元化」につながる可能性があります。都度の連絡調整を減らし、かつ患者様へのサービス品質も向上させる「Win-Win」の業務フロー構築を目指すことになります。

 

おわりに

今回の改定は、実務担当者にとっては非常に変更点が多く、対応に苦慮される部分も多いかと存じます。 しかし、これらは全て「人を守り、効率を上げ、持続可能な経営を行う」ためのツールでもあります。

ただ、この一見複雑に見える診療報酬改定ですが、そのメッセージはシンプルかもしれません。

「物的・人的基盤を固め(補正予算)、その上でICTを活用して強固に連携せよ(診療報酬改定)」ということです。

私たちききょう会は、この国のメッセージを真摯に受け止め、地域の医療・介護・福祉のハブ(結節点)としての機能をさらに強化してまいります。

「ききょう会と組めば、連携がスムーズだ」

「ききょう会なら、最後まで安心して任せられる」

そう言っていただけるよう、今後も現場の取り組みを分かりやすく発信し続けてまいります。

 

医療法人ききょう会は東京都から埼玉県まで広く在宅医療(訪問診療)の提供を行っており、特に在宅ホスピスケア緩和ケアに力を入れています。詳細は以下クリニックの方にお問合せ下さいませ。

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