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2026年8月迄 2025年度(令和7年度)ベースアップ評価料の実績報告のステップ

[2026.06.04]

 

2026年6月より、令和8年度(2026年度)診療報酬改定の本格施行に伴い、すべての医療機関にベースアップ評価料が大きく変わります。

今回の改定では、これまでベースアップ評価料を算定してきたクリニックも含め、算定を継続するすべての診療所に「再届出(新制度への移行手続き)」が義務付けられました。ただ目下まだ気になることとして、前年度である「令和7年度算定分の実績報告(賃金改善実績報告書)」の提出準備を並行して進める必要があるということです。
「前年度の実績報告はどうやるの?」
「提出するエクセルファイルが多すぎて、どこに何を入力すればいいか分からない!」
このようなお悩みを持つ在宅医療・外来診療を行う診療所に向けて、本記事では「令和7年度の実績報告」についての具体的な実務作業を、ステップバイステップで解説するとおもに、混同しがちな令和8年度の新ベースアップ評価料についても触れます。

全体スケジュールの把握:今月と夏にやるべき「2大タスク」

実務で最も混乱しやすいのが、「過去(令和7年度分)の報告」と「未来(令和8年度分)の手続き」のスケジュールです。まずは頭を整理するため、全体タイムラインを把握しましょう。

【2026年(令和8年)6月】
 
 
令和8年度 新制度の再届出 (今月中の提出で7月1日算定開始)
 
【2026年(令和8年)8月31日まで】
 
 
令和7年度(前年度分)賃金改善実績報告書の提出

タスク1(未来の手続き):令和8年度診療報酬改定に伴うベースアップ評価料の「再届出」

今月中(6月30日まで)に届出を完了すれば、翌月である「7月1日」から算定を開始できます。令和8年度診療報酬改定に伴うベースアップ評価料の届出については6月中に必ず手続きを完了させましょう。

タスク2(過去の報告):令和7年度(2025年度分:2025年4月〜2026年3月算定分)の「実績報告」

こちらは、前年度にベースアップ評価料を1ヶ月でも算定していたすべての診療所に提出義務があります 。提出期限は「2026年(令和8年)8月31日」です。

令和7年度(前年度分)実績報告のステップ

まずは、夏(8月末)までに完了させる必要がある「令和7年度分 賃金改善実績報告」の具体的な手順から解説します 。

使用するExcelファイルと入手先

令和8年度改定用の様式と混同しないよう、必ず「令和7年度算定分専用(旧様式)」を使用してください。

ダウンロード先URL: 厚生労働省「ベースアップ評価料等について」特設サイト
ページ内の「10. 令和7年度実績報告書の提出について」から、以下のファイルをダウンロードします。
【旧様式】
診療所及び歯科診療所用

入力と算出の手順

令和7年度実績報告書 厚生労働省WEBサイトより引用

医療機関基本情報の入力

エクセルの「報告書」シートを開き、オレンジ色の網掛けセルに基本情報を正確に入力します 。

  • 保険医療機関コード: 7桁の数字を半角で入力。
  • 保険医療機関名: 所管の厚生局に登録されている正式名称を入力(全角)。
  • 所在地・連絡先・担当者名・電話番号: 問い合わせに応じられる担当者の情報を入力します。

 

賃金改善実施期間および算定期間の入力
  • 賃金改善実施期間 (Ⅰ(1)): 令和7年度中に、ベースアップ評価料を原資とした賃上げを実際に給与に反映した期間を入力します(例:始期「令和7年4月」、終期「令和8年3月」、期間「12ヶ月」)
  • ベースアップ評価料算定期間 (Ⅰ(2)): 実際に評価料をレセプト請求した期間を入力します(通常は賃金改善期間と同じになります)

 

評価料による収入実績額の集計と入力

ベースアップ評価料による収入の実績額(Ⅱ-1): 令和7年度中(2025年4月〜2026年3月)に、クリニックが国保連から受け取ったベースアップ評価料(Ⅰ)および(Ⅱ)、そして総請求金額の合計額(円)を集計して入力します。

 

繰り越し状況

ベースアップ評価料による収入の実績額(Ⅱ-2): 翌年度への繰り越しや前年度の繰り越しがあれば記入します。

    1. 収支の計算
      [ベースアップ評価料の収入実績総額] - [実際の賃金改善実績額(ベア分、それに伴う賞与・時間外手当の増額分、社会保険料の事業主負担分の合計)] を計算します。
    2. 差額(余り)が出た場合の処理
      収入が上回った場合(余りが発生した場合)は令和7年度分までは、翌年度への繰り越しが認められています。「翌年度への繰越予定額」のセルに余った金額を記入してください。余りがない場合は 0円と入力します。
    3. チェックボックスの記入
      「算定したベースアップ評価料をすべて賃金改善に使い切った(または繰り越した)」ことを確認し、誓約のチェックボックス(☑)を入れます。

 

対象職員の常勤換算人数と賃金改善実績の入力
  • 対象職員の人数(常勤換算数)(Ⅲ(10)): 算定期間中における対象職員の平均人数を常勤換算で入力します 。
  • 賃金改善した基本給等総額 (Ⅲ(11)): ベースアップ評価料による賃上げを適用した後の、対象職員全員の1ヶ月あたりの「基本給等(基本給+毎月支払われる手当)の月額総額」を入力します。
  • ベア等による賃金改善実績額 (Ⅲ(11)): 定期昇給分を除き、ベースアップ評価料によって「純増させた(引き上げた)給与改善実績額」を入力します。

 

提出について

メールにて提出を行います。管轄厚生局の下記メールアドレスにメール提出を行います。(※●を@に変更する必要があります)
メールに添付するExcel ファイルのファイル名に医療機関コードもしくは訪問看護ステーションコード、報告対象年度を記載します。
例)9999999_ベースアップ評価料報告R6.xlsx
また、メール本文にも、署名等により医療機関もしくはステーション名及び連絡先を記載するようにしましょう。
詳細は下記「厚生局への提出」項目を参照してください。


厚生労働省資料より引用

令和8年度以降(次年度)の手続き

次に、「令和8年度診療報酬改定に伴う手続き」についても詳しく見ていきます。

令和8年度診療報酬改定において、ベースアップ評価料の手続きは驚くほど簡素化されました。これまで毎年作成が義務付けられていた「賃金改善計画書」の事前提出が完全に廃止(不要)となっているのです。
「計画書が不要なら、何もしなくていいの?」ではないので要注意です。
自動継続はありません。現在すでにベースアップ評価料を算定しているクリニックであっても、新制度の点数を適用するためには、改めて「再届出」を提出する必要があります。

算定点数の2つのルート:「新規」か「継続(高い上乗せ点数)」か?

再届出を行う際、ご自身の診療所がどちらの点数を請求できるかを確認してください。令和8年度改定では、過去の実績に応じて点数が2段階に分かれています。

  • ルートA:継続的賃上げ実施施設(注5)
    令和8年3月31日までにベースアップ評価料を届け出ていた、あるいは過去に実質的な賃上げ実績がある診療所が対象です。初診時:17点(新規施設の8点に比べ、2倍以上の点数が設定されています)
  • ルートB:新規賃上げ施設
    今回初めてベースアップ評価料を届け出る、または過去に賃上げ実績がない診療所が対象です。初診時:8点

令和8年度 新様式の入力手順

翌月から算定開始を目指す場合、関東信越厚生局に今月中に提出する必要があります。以下のリンク先のExcelファイル「ベースアップ評価料届出様式(様式95~100)」です。
厚生労働省「ベースアップ評価料等について」特設サイト


厚生局への提出

上記報告書同様のメールアドレスに添付し送信します。Excelファイルの作成が完了したら、管轄の厚生局へ届出を行います。
以下のルールを厳守してください。

  1. 添付エクセルファイルのファイル名: [7桁の保険医療機関コード]_ベースアップ評価料届出.xlsx (新届出の場合) [7桁の保険医療機関コード]_ベースアップ評価料報告R7.xlsx (実績報告の場合)
    (例:医療機関コードが 1234567 のクリニックが今月の再届出を出す場合) 1234567_ベースアップ評価料届出.xlsx
  2. メールの件名:
    新届出の場合:ベースアップ評価料再届出
    実績報告の場合:ベースアップ評価料実績報告

メール本文のテンプレートを作成しましたので。参考にしてください。 メール本文には、以下の必要事項を漏れなく記述する必要があります。

【件名】ベースアップ評価料再届出
【添付ファイル】1234567_ベースアップ評価料届出.xlsx
【本文】
関東信越厚生局 [〇〇]事務所 審査課 御中

お世話になっております。
以下の通り、ベースアップ評価料に係る届出書を送付いたします。
ご査収のほど、よろしくお願い申し上げます。

1. 保険医療機関コード:1234567
2. 保険医療機関名称:〇〇クリニック
3. 担当者氏名:医療 太郎
4. 連絡先電話番号:03-XXXX-XXXX

 

まとめ

ベースアップ評価料は、手続きさえ正しく行えば、大切なスタッフの待遇を改善し、採用力を高めることができる非常に強力な国の支援制度です。「難しそうだから」「面倒だから」と放置せず、一つずつ手続きを進めることが、クリニックひいては地域のためになると考えています。

医療法人ききょう会は東京都から埼玉県まで広く在宅医療(訪問診療)の提供を行っており、特に在宅ホスピスケア・緩和ケアに力を入れています。診療については以下の各クリニックへお問合せください。

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